このページは、海外を含む幹細胞研究の論文・臨床試験・報道を日本語で紹介する記事です。紹介する試験の結果は、その試験で用いられた細胞製品・投与方法・対象者に限られ、他の製品や当社がご案内する治療の効果を示すものではありません。当社は紹介する研究・製品に関与していません(関与がある場合は記事内に明記します)。このページでは治療のご案内は行っていません。
視神経脊髄炎は、自分の免疫が視神経と脊髄を繰り返し攻撃する希少な病気で、発作のたびに視力や歩く力が失われていきます。近年は複数の薬が承認されましたが、それでも発作を抑えられない患者がいます。今回報告された2名は、いくつもの免疫抑制薬が効かなかった患者でした。
2名は16年前と15年前に、他人(ドナー)の造血幹細胞移植を受けました。骨髄の造血を、いったん薬で抑え込んだうえで、ドナーの幹細胞に置き換える治療です。移植後、2名とも免疫抑制薬を使わない状態で発作が止まり、画像上も病気の活動は見られなくなりました。病気の原因となる抗体(抗アクアポリン4抗体)は移植後に検出されなくなり、15年以上たった今も陰性のままです。
造血幹細胞は、血液と免疫の細胞のすべてを生み出すもとになる細胞です。自分の造血幹細胞を使う移植(自家移植)は、免疫系を一度リセットする目的で複数の自己免疫疾患に試されてきましたが、病気を起こす性質を持つ免疫細胞が再び現れることがあります。ドナーの造血幹細胞を使えば、免疫系そのものを他人のものに入れ替えることになり、原因となる抗体を作る細胞が戻りにくいと考えられます。実際に2名では、ドナー由来の造血が完全に維持され、免疫を調節する制御性T細胞の再構築も観察されました。
ただし、他人の細胞を使う造血幹細胞移植には、移植した免疫細胞が患者の体を攻撃する移植片対宿主病(GVHD)や、前処置による感染症など、死亡を含む重いリスクがあります。今回の2名にはGVHDは起こりませんでした。
この報告で追跡された患者の人数
薬が効かなかった患者から選ばれた2名で、比較する対照群はありません。
15年を超える寛解と、原因抗体が消えたままであることは、この病気では例のない長さの経過です。一方で、2名という人数では、同じ治療を受けた患者のうちどれだけの割合で寛解が得られるか、どれだけの割合で重い合併症が起こるかは分かりません。著者らも、患者の選び方、安全性、長期の利益を確かめるための今後の研究が必要だとしています。
このページは、海外を含む幹細胞研究の論文・臨床試験・報道を日本語で紹介する記事です。紹介する試験の結果は、その試験で用いられた細胞製品・投与方法・対象者に限られ、他の製品や当社がご案内する治療の効果を示すものではありません。当社は紹介する研究・製品に関与していません(関与がある場合は記事内に明記します)。このページでは治療のご案内は行っていません。