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iPS細胞、ES細胞、造血幹細胞、間葉系幹細胞(MSC)。世界で発表される研究や臨床試験を、「何が起きたのか」から読める記事にします。難しい論文情報は、記事の後半に検証用データとしてまとめています。
注目の記事

進行した骨粗鬆症の女性10名に、骨へ移動しやすく表面を加工した本人由来の間葉系幹細胞(MSC)を1回点滴したところ、投与前2年間と比べて、投与後2年間の脆弱性骨折が94%少なかったと報告されました。ただし、プラセボ群との比較ではない、10名だけの初期試験です。
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生まれつき免疫と血小板がうまく働かない希少な遺伝性の病気「ウィスコット・アルドリッチ症候群」で、患者自身の造血幹細胞に正常な遺伝子を補って1回点滴する治療の長期結果が、New England Journal of Medicine に掲載されました。27名を中央値5.7年追跡し、5年生存率は96%、重い感染症は治療前の1年と比べて年2.00回から年0.15回に減ったと報告。同じ治療は2025年12月に米国 FDA で承認されています。対照群のない試験です。
New England Journal of Medicine · 2026年9月24日 · 非盲検・単群(3つの研究の統合) · 27名
中国・中山大学のグループが、親知らずの抜歯で出る歯ぐきの組織から培養した他家MSCを、1型糖尿病の18名に点滴する無作為化・二重盲検・プラセボ対照の第1相試験を行いました。12週時点で、膵臓のインスリンを作る力の指標(Cペプチド)がプラセボ群より有意に高く、1日のインスリン量も48週まで基準より少なく保たれたと報告。重篤な有害事象はありませんでした。Signal Transduction and Targeted Therapy、2026年9月30日。
Signal Transduction and Targeted Therapy · 2026年9月30日 · 無作為化・二重盲検・プラセボ対照 · 18名
広島大学発のツーセルが、他家の滑膜由来MSCから作る三次元の組織「gMSC1」について、新たな第3相試験の治験計画届をPMDAに提出したと2026年9月10日に発表しました。前回の第3相試験では、MRIなどによる軟骨の構造の評価で有効性が示唆された一方、主要評価項目では統計的な差が出ておらず、今回の試験で改めて確かめます。
企業発表 · 2026年9月10日 · 治験計画届 · 日本
受傷から間もない頸髄の完全損傷の患者4名に、iPS細胞から作った神経幹・前駆細胞を移植した日本の初のヒト試験。2〜4年の追跡で腫瘍形成や移植片に関わる有害事象はなく、運動スコアは中央値13点改善、2名で麻痺の区分が改善しました。対照群のない第1相試験です。Nature Medicine、2026年。
Nature Medicine · 2026年7月 · 初のヒト試験 · 4名 · 日本
角膜の表面を再生する幹細胞を失う病気(角膜輪部幹細胞疲弊症)の患者4名に、他人のiPS細胞から作った角膜上皮の細胞シートを移植した大阪大学の初のヒト試験。2年間の観察で重篤な有害事象はなく、52週時点で4眼すべての矯正視力が改善しました。対照群のない4名の試験です。Lancet、2024年。
Lancet · 2024年11月 · 初のヒト試験 · 4名(4眼) · 日本
1型糖尿病の患者1名に、本人の細胞を化学的に初期化して作った多能性幹細胞から膵島を作製し、腹部の筋膜の下に移植した第1相試験の初回報告。移植75日後からインスリン注射が不要になり、1年間、血糖の目標範囲内の時間が98%を超えました。1名の症例で、免疫抑制剤を使用しています。Cell、2024年。
Cell · 2024年9月 · 第1相の初回報告 · 1名 · 中国
パーキンソン病の患者7名(50〜69歳)に、他人のiPS細胞から作ったドーパミン神経前駆細胞を脳の両側へ移植した京都大学の第1/2相試験。24か月で重篤な有害事象はなく、移植細胞はドーパミンを産生し腫瘍化しませんでした。運動症状の評価では6名中4名が改善。対照群のない初期試験です。Nature、2025年。
Nature · 2025年4月 · 第1/2相 · 7名(50〜69歳) · 日本
iPS細胞から作った心筋細胞と間質細胞をゲル状の組織にし、弱った心臓の表面に貼る研究。アカゲザルでは最長6か月生着し、心不全モデルで収縮力と駆出率が改善、不整脈や腫瘍は見られませんでした。ヒトでは進行した心不全の患者1名で移植片の生着を確認。第1/2相試験が進行中です。Nature、2025年。
Nature · 2025年1月 · 前臨床(アカゲザル)とヒト1名 · ドイツ
視神経と脊髄を繰り返し攻撃する希少な自己免疫疾患(視神経脊髄炎)で、薬が効かなかった2名に、ドナーの造血幹細胞を移植した長期追跡の報告。16年と15年にわたり免疫抑制薬なしで寛解が続き、原因となる抗体は検出されなくなりました。2名の報告で、移植そのものに重いリスクを伴う治療です。Med、2026年。
Med · 2026年6月 · 2名の長期追跡 · イタリア
米国 Longeveron 社の他家骨髄由来間葉系幹細胞 laromestrocel を、フレイルのある高齢者148名で調べた無作為化・プラセボ対照の第2b相試験。主要評価項目の6分間歩行距離は9か月時点で有意差、事前登録の6か月時点では有意差なし。掲載誌 Cell Stem Cell、2026年3月。
Cell Stem Cell · 2026年3月 · 無作為化・プラセボ対照 · 148名
ベトナム Vinmec 研究所による、他家臍帯由来MSCを3か月間隔で2回静脈内投与する無作為化・非盲検・単一施設の第2相試験。治療に関連する重篤な有害事象はなく、9か月時点の身体機能スコア(SPPB)は対照群より1.1点高いと報告。EBioMedicine、2026年5月。
EBioMedicine · 2026年5月 · 無作為化・非盲検・単一施設 · 147名
クローン病の複雑痔瘻に対する他家脂肪由来MSC製品 darvadstrocel(Alofisel、日本ではアロフィセル注)の第3相確認試験 ADMIRE-CD II。568名の二重盲検試験で24週の複合寛解率は48.8%対46.3%と差がなく、主要評価項目を達成せず。欧州では2024年12月に承認撤回。Gastroenterology、2026年6月。
Gastroenterology · 2026年6月 · 第3相 · 568名 · 主要評価項目 未達
オーストラリアの多施設・二重盲検・プラセボ対照の第2相試験 ASSIST CLAD。肺移植後に新たに慢性移植肺機能不全(CLAD)を発症した59名に他家骨髄由来MSCを4回静脈内投与。12か月の無増悪生存はMSC群41%、プラセボ群55%で有意差なし。J Heart Lung Transplant、2026年8月。
J Heart Lung Transplant · 2026年8月 · 多施設・二重盲検 · 59名 · 主要評価項目 未達
大阪大学の研究グループが、再生医療等安全性確保法に基づき届出された脊髄損傷向けの研究目的以外の提供計画41件を分析。細胞は脂肪由来68%、骨髄由来32%、投与経路は静脈内71%、平均価格14,100米ドル。Regenerative Therapy、2026年5月。
Regenerative Therapy · 2026年5月 · 実態調査 · 大阪大学
幹細胞治療の紹介でよく引用される動物実験について、モデル、用量、評価項目、ドナー差、投与経路の5点から、ヒトの効果として読めない理由を説明します。骨髄由来と臍帯由来のMSCをラットで比較した2026年の研究を例に取ります。
読み方 · 前臨床研究 · 例: Osteoarthritis and Cartilage 2026
2013年のスキー事故で頭部に重い外傷を負った元F1ドライバーのミハエル・シューマッハ氏について、2019年の「幹細胞治療」報道と2026年1月の「車椅子に座れる」報道を時系列で整理し、公式に確認されている事実と、報道からは分からないことを分けて記載します。
報道の事実整理 · 2019年9月〜2026年1月
読みやすさと、正確さの両方を。
対象人数、研究段階、対照群の有無を明記し、一次論文と試験登録へリンクします。